小川潤也個展「全消しの河原」

小川潤也個展「全消しの河原」

EUKARYOTE, 3F


Information

EUKARYOTEでは2019年3月7日(木)から3月31日(日)までの会期にて、小川潤也による個展「全消しの河原」をスペース3階にて開催致します。


賽の河原は、親より先に死んだ子供が親の供養のために三途の川のほとりで石積みをするという伝承である。石を積み、石の塔を完成させようとすると、現れた鬼に破壊されてしまう。再び積み上げると、またもや鬼に破壊されてしまう。これを繰り返すが、最後は地蔵菩薩が救済に現れることで幕を閉じる。
一方、落ちものパズルゲームは現実と同様に重力が支配しており、プレイヤーは落下するブロックを移動、回転させるなどして積み上げては消してゆく。
この際限なく続行可能な積んで消すという行為こそがこのゲームの醍醐味であり、プレイヤーはそこに快感や達成感を見出している。
賽の河原の石積みを落ちものパズルゲームに置き換えることにより、その悲観的な状況はゲームのフレームと共に一変する。石積みは娯楽になり、鬼や地蔵菩薩といった幻想は沈黙する。

小川潤也は美大進学前にバイオテクノロジーに触れた経験から、人が複雑なシステムを構築し、秩序を創造するその欲求と崩壊について興味を持ち、現代のテクノロジーが可能にするオブジェクトの組み合わせを1平面上にポップな色調で並列させたペインティングや、それらに対し工業製品を織り交ぜた立体作品をインスタレーションとして組み上げるなど、人為の営みをシニカルに表現してきました。

近年ではアルベール・カミュのシーシュポスの神話からインスピレーションを得て、小川自身が参加するアート集団・HIROSEKAIでは岩に翻弄される人たちを描く映像作品とインスタレーションを制作(アートラボはしもと,2018年)、前進のために自らを縛り付ける人間の社会システム、あるいは自然災害など、絶対的な存在や不条理に対して乗り越える方法を模索しています。

本展では、積んで崩す(消す)という構築と解体のプロセスを有している点から、その類似性を軸に、賽の河原の石積みを落ちものパズルゲームに置き換えた平面作品や立体作品をインスタレーションとして空間に展開します。

オープニングレセプション

2019.3.8 (金) 18:00-20:00

定休日

月曜日



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“EUKARYOTE”は、2018年に東京の神宮前に設立したアートスペースです。美術の発生より紡ぎ続けてきた現代の有形無形、その本質であり、普遍的な価値を持つ作品や作家を積極的に取り上げ、残していきます。


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