未踏領域の拡大 we land, turn, float…over?

未踏領域の拡大 we land, turn, float…over?

EUKARYOTE


Information

この度、2022年2月11日(金)から3月6日(日)までの会期にて、EUKARYOTEでは荒木美由と植 田爽介による二人展、「未踏領域の拡大 – we land, turn, float…over?」を開催いたします。

「きっとばっちりうまくいく……」(p.65 河出文庫) ミシェル・ウェルベック「闘争領域の拡大」で、主人公が同僚に語りかけられる言葉だ。作中には 常に不穏さと崩壊の予兆が充満し、この言葉だって何ひとつ信用ならないことが、読者には嫌と 言うほどわかっている。わかるけれど、何者も、この言葉の代替を継ぐことはできない。異なる領 域に飛び込んだ者と、岸から見ている者が放てる言葉は、決定的に違う。

本展は一階から三階までの屋内フロアと、屋上を含む四つの空間で構成される。各階にはland, turn, float, そして”over…?”というどこか不安げな呼びかけを含む四つのテーマが割り当てられる。いずれの階でも試みられるのは、ふたりの作家による領域の交錯だ。
荒木は「存在」について、物質に穴を開けることで何度も確かめる。穴の空いた岩、レースのようになった造花、製作中に崩れた石の破片は確かにそこに在るのに、穴の有無によって決定的に異なる存在となる。植田は版や複製技術によって「見えない関係」を探る。電子基盤が埋め込まれた熊の毛皮、動物と製図用文房具が混じり合った輪郭など、一見相反するもの同士の融合は、奇妙に噛み合って関係性を築いている。
両者は時に分野や技法さえも交錯させながら、互いの未踏領域を探っていく。荒木は版画を、植田は石彫を本展で初めて手がけることになる。まだ足を踏み入れたことのない土地は、いくらでも 広がっていて、両者を取り囲むだろう。本展が指す「未踏」とは、鑑賞者にとってもそうだが、制作を行なう両者もまた逃れられないものだ。
“over…?”と、どこへともなく呼びかける。安全な岸ではなく、まだ踏み入れたこともない、進めば進むほどに知らないことが拡大していく領域から、ふたつの声が交錯する。

高橋夏菜

休廊

月曜日

デザイン

HOO VOE

協力

observer:高橋夏菜
空間設計:吉田あさぎ
照明:伊藤啓太

協賛

公益財団法人クマ財団


荒木美由

1988 東京都生まれ
2013 ⼥⼦美術⼤学⼤学院美術研究科美術専攻修⼠課程⽴体芸術領域修了

近年の主な個展
2020「いしのない世界 - Life After People -」いりや画廊(東京)
2017「わたしがわたしであること」天王洲アイル/セントラルタワービル(東京)
「いしをもって眠りたい」BLOCK HOUSE(東京)

近年の主なグループ展
2021「凉」SPACE TGC(東京)
「Beyond the stone」天王洲アイル/セントラルタワービル(東京)
2020「My Sculpture」GALLERY Gigi(神奈川)
2019「SHIBUYA STYLE vol.13」渋谷西武美術画廊・オルタナティブスペース(東京)
2018「para nature」EUKARYOTE(東京)

植田爽介

1994 香川県生まれ
2016 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業
2020 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻版画第一研究室修了

個展
2021「Experiment Ⅳ」DiEGO表参道(東京)
2019「(whereabouts of the) ANIMA」TAKU SOMETANI GALLERY(東京)
2018「Diving into the Perceptual Sea」BUoY北千住アートセンター(東京)

近年の主なグループ展
2021「ブレイク前夜 in 仙台」GALLERY A8T(仙台)
「ここで、まってる」BUoY北千住アートセンター(東京)
2019 「The 15th international Print Triennale Graphica Creativa 2019 >Hereafter>」JYVÄSKYLÄ ART MUSEUM(フィンランド)
「The 5th Bangkok Triennale International Print and Drawing Exhibition」Bangkok Art and Cultural Center(タイ)
「HELLO my name is 」EUKARYOTE(東京)


MORE EXHIBITION


“EUKARYOTE”は、2018年に東京の神宮前に設立したアートスペースです。美術の発生より紡ぎ続けてきた現代の有形無形、その本質であり、普遍的な価値を持つ作品や作家を積極的に取り上げ、残していきます。


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