
EUKARYOTE
EUKARYOTEでは2026年8月21日(金)から9月13日(日)までの会期にて、津野青嵐による個展「Spilling Body」を開催いたします。
津野青嵐は1990年長野県生まれ。日本赤十字看護大学卒業後、精神科病院に勤務する傍ら、2018年まで「ここのがっこう(coconogacco)」でファッションを学びました。同年、3Dペンによって空間に線を描くように制作したドレス《Wandering Spirits》(2025年《Out of Body, In Dress》に改題)が「ITS 2018」のファイナリストに選出され、国内外で注目を集めます。その後、北海道の「浦河べてるの家」での勤務を経て、東京科学大学大学院へ進学。美学者・伊藤亜紗氏のもと、自身を含む「ファット」な身体を持つ人々の身体感覚や、自らの体とどのような関係を結びうるのかを、衣服の制作と対話を通して探究してきました。本年3月に同大学院修士課程を修了し、金沢21世紀美術館 デザインギャラリーでの個展、5月にはニューヨークのメトロポリタン美術館(The Met)への作品収蔵と特別展への出品を経て、EUKARYOTEでは初の個展となります。
津野の実践は、精神科での看護経験を背景に、ファッションデザイン、研究、文筆を横断しながら、思いどおりにならない自分や他者の身体と、どのように付き合い続けることができるのかを探るものです。服作りは、身体を美しく見せたり、理想的な形へ近づけたりするためではなく、簡単には受け入れることのできない身体と、ときに距離をとり、ときに触れ直しながら、その関係を結び直していくための方法として選ばれてきました。
活動初期から制作を続ける3Dペンのドレス《Out of Body, In Dress》は、人体の輪郭をなぞりながらも、硬質な構造ゆえに身体の柔軟な動きに沿うことができず、首から吊り下げるように身につけられます。身体と服は重なりながらもずれ、肉体からもうひとつの身体が抜け出したような、あるいは自身の身体を外側から眺めるような距離をつくり出します。
本展「Spilling Body」では、津野の活動を象徴するこれまでのドレス作品とともに、映像、ドローイング、コラージュ、蜜蝋を用いた版画作品などを発表します。ミツバチが自身の身体にある脂肪を代謝し、体外へと分泌することで生み出される蜜蝋。その生成過程に津野は、身体を構成していたものが輪郭の外へとこぼれ、別の物質へと変化していく可塑性を見出しています。
看護や祖母の介護の経験、そして自らの身体との付き合い方を探るなかで、津野は制作を「こぼれ落ちた身体や時間を、別の形で拾い直す試み」だと語っています。また「Spilling Body」というタイトルには、「何かをこぼしている身体」と、「身体そのものがこぼれ、あふれ出している状態」という二重の意味があり、周囲の物や人、時間を巻き込みながら、こぼれつづける身体を捉えようとするものだといいます。
服という方法から始まり、映像、ドローイング、それらを用いたインスタレーションへと広がる津野の実践を通して、思いどおりにならない身体との関係をその都度拾い直し、ときに立ち止まりながら、その身体と付き合い続ける現在を紹介いたします。
1990 長野県生まれ
2026 東京科学大学(旧 東京工業大学)大学院
環境・社会理工学院/社会・人間科学コース修士課程 修了
個展
2026「共にあれない体」金沢21世紀美術館 デザインギャラリー/金沢
近年の主なグループ展
2026「Costume Art」メトロポリタン美術館/ニューヨーク
2025「FUJI TEXTILE WEEK2025」旧文化服装学院/山梨
「コレクション+女性アーティスト、それぞれの世界」アーツ前橋/群馬
2024「南飛騨Art Discovery」健康学習センター/岐阜
「底に触れる 現代美術 in 瀬戸」瀬戸市新世紀工芸館/愛知
2023「科学と芸術の丘 2023」戸定邸/千葉
「FUJI TEXTILE WEEK 2023」旧文化服装学院/山梨
「The First Exhibition 20 years of contemporary fashion evolution」
ITSアルカデミー・ミュージアム・オブ・アート・イン・ファッション/トリエステ
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