「LOVE NOW」トークイベント|アップデートされる仏教表現 ー境界なき時代の地獄ー

「LOVE NOW」トークイベント|アップデートされる仏教表現 ー境界なき時代の地獄ー

EUKARYOTE


Information

磯村暖個展「LOVE NOW」開催にあたり、アーティスト磯村暖と、先月青弓社より『タイの地獄寺』を発行し、タイの地獄寺研究を行う唯一の日本人でもある椋橋彩香とのトークイベントを行います。
テーマは「アップデートされる仏教表現 ー境界なき時代の地獄ー」
どなたでもご参加いただけますので是非お越しくださいませ。

date

2018年12月1日(土)19:00-21:00

参加者

磯村暖(アーティスト)
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椋橋彩香(早稲田大学大学院美術史研究科博士課程在籍、タイ仏教美術における地獄表現研究)


椋橋 彩香|くらはしあやか
1993年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科にて美術史学を専攻、タイ仏教美術における地獄表現を研究テーマとする。2016年修士課程修了。現在、同研究科博士後期課程在籍。タイの地獄寺を珍スポットという観点からだけではなく、宗教的・社会的また政治的な要因が複合してうまれたひとつの「現象」として、また地獄表現の系譜において看過することのできないものだと捉え、フィールドワークをもとに研究を進めている。


磯村はこれまでタイ・ネパール・台湾との交流を通じて、現代の社会問題を軸に自身の活動を展開してきた。初の個展となる“地獄の星” (2016)では、タイにある地獄の亡者像にインスピレーションを受け、地獄の亡者たちに難民問題やLGBTQの人権問題を託して制作がなされた。翌年の“HOME PARTY” (2017)では、ネパールから移民として日本で暮らすことの困難さを、ティハールという国民的な祭りを再構成することによって表出させた。台北で発表された“Joss Paper for lovers” (2018)では、台湾における同性婚合法化を受け、現地リサーチをもとに日本の現状と対照させた。さらに同年、タイにあるワット・パイローンウア寺院にて滞在制作を行い、LGBTQの人権問題を再び地獄の亡者に託し、タイと日本の間にトランスナショナルな視点を創出した。
2016年以降、磯村が継続して制作に取り組んでいる地獄の亡者像は、タイで1970年代以降に定着した新しい地獄表現である「地獄寺」に着想を得ている。地獄寺とは、立体像で構成された地獄空間をもつ寺院のことである。タイにおける地獄表現はもともと壁画などの平面に描かれているものであったが、それが現代になり、私たちが実際に足を踏み入れることのできる地獄空間としてあらわされるようになったのである。
パラダイムにおける異質なものを表象することは国や時代を問わず行われ、そのメディアとして「地獄」は大きな役割を担ってきた。その時代の最も新しい手法によって、地獄は何度も繰り返しあらわされ、その度に時代の特性を炙り出してきたのである。そして、磯村はまさにその役割を担っているように思う。国と国、性別や国籍、また生と死といった既存の「境界」は磯村の解釈でやわらかく崩され、混ざり合い、なくなっていく。その過程を、今回開催される“LOVE NOW”では目の当たりにすることができるだろう。

椋橋 彩香


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“EUKARYOTE”は、2018年に東京の神宮前に設立したアートスペースです。美術の発生より紡ぎ続けてきた現代の有形無形、その本質であり、普遍的な価値を持つ作品や作家を積極的に取り上げ、残していきます。


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