高山夏希個展「青い火」

高山夏希個展「青い火」

EUKARYOTE


Information

EUKARYOTEでは2024年11月8日(金)から11月24日(日)までの会期にて、高山夏希による個展「青い火」を開催いたします。

高山は、テクノロジーの発展によって人間中心主義が進行した現代社会にたいする問題意識を持っています。私たちはいま、人、動物、自然…その他様々なものが断絶された状態であり、世界を包括的に捉え直すパースペクティブを必要としているのです。そのアプローチとして高山は、近代的な世界観とは異なる人や動物や環境が一体化した世界観の提示を、一貫して試みてきました。絵画の制作にあたっては、注射器から紡ぎ出されるアクリル絵具の粒子を細かく重ねることで、複雑に混じり合った色の積層から独自の絵肌をつくりだしています。さらに絵肌を彫刻刀で削り出すなどして、大地の地層を想わせるような表現へと発展しています。そのほか古物、流木や樹脂、自然物、セラミックなど、多彩なマテリアルを用いてその世界観を構築してきました。これまで 2016年 IDEE 六本木ミッドタウン店での展示をはじめ、2018年 VIVIENNE TAM(西武渋谷)、 2019 年ブルックスブラザーズ(旧青山店)とのコラボレーションを発表、近年では 2023 年に奈義町現代美術館にて個展「気 色の目-Eyes of KESHIKI」(岡山)を開催するなど、その活動は拡張し続けています。

_
本展の作品群は、2024年10月に開催した、アートフェア MEET YOUR ART FESTIVAL2024の5SENSES by ボンベイ・サファイアにて展示した作品と新たに制作をした新作の平面作品を織り交ぜて展示している。コラボレーションの際に、ボンベイサファイアのお酒を改めて飲み、何種類もの自然物を蒸留した複雑さを持ち合わせているのにも関わらず、液体が無色透明であることと、その複雑さに相反するような透明-不可視な液体と、その透明さを可視化するようなガラスの関係に着目をした。 これは、自然の世界のなかにある見えざる働きに気づいたときに、不可視の繋がりを感じるような、私自身の感覚にもつうじている。ボンベイサファイアの色とガラスの素材に着想を得てセラミック、平面作品へと結晶化しました。

作品制作する渦中で、静岡の柿田川湧水群を訪れた。柿田川湧水群は、約8500年前に富士山の爆発で大量に噴出した三島溶岩流層とその下の火山表層の性質により、この地方に降った雨や雪は地下水となって流下し、三島市や柿田川の地表に湧き出ています。最も水深ふかく位置するわき間から湧き出す水から成る水深3.5メートルほどの源水は、サァファイアのように青い水が広がっている。本来、水の性質は、青以外の光を吸収しやすいため、普段私たちが目にする多くの水面が、強烈なまでの青色をしてることは希少である。私たちの目に映るまでにも、水に含まれる不純物や、その日、その季節や天候など、環境が複雑に反映されている。私は、その自然の中にある青を目にした時に、見ようとしなければ見えなかった、しかし、そこには、存在しているものの色の姿のように感じた。青色の円の水の中には、魚が泳いでいる。透きとおり、人肌以下のひんやりとした温度の水が、ボコボコと音を鳴らしながら、絶えず新たな水で円を満たしている。本作品は、目では見えないが 自然の中に確かに存在するものを想像し、見ようとしなければ見えないものに気付くこと、自身の存在とそれを包みこむ世界とを同時に認識し、世界とのつながりを憶えたイメージに基づいています。

高山夏希

タイトルに含まれる〈青〉について、高山はつぎのように話しています。「水や空、空気など、物体として見えないものを、こどもが色や形で表現する時、手に取ったりする、そういった野生の感性の色」
本展では、青い色調が響き合う近作と新作を中心に、平面のほかセラミックによる立体作品を発表いたします。

休廊日

月曜日

デザイン

HOO VOO

協力

MEET YOUE ART


高山夏希

1990 東京生まれ
2014 東京造形大学 造形学部美術学科 絵画専攻 卒業
2016 東京造形大学大学院 造形研究科 美術専攻領域 修了

近年の主な個展
2024「推力の鳴く弧の此方」WALL_Shinjuku 東京
「堆く、石走りて」rin art association 群馬
2023「気色の目」奈義町現代美術館 岡山
2022「black view」IDEE TOKYO 東京
「空を泳ぐ鳥は火を灯す」NADiff a/p/a/r/t 東京
2021「water mirror intersect」haku kyoto 京都

近年の主なグループ展
2024「MEET YOUR ART FESTIVAL 2024 ‘5 SENSES by ボンベイ・サファイア’」T-LOTUS M 東京
「Spring Show」MAHO KUBOTA GALLERY 東京
2023「MEET YOUR ART FESTIVAL 2023 ‘RE:FACTORY’」寺田倉庫G1ビル 東京
2022「MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 ‘New Soil’」恵比寿ガー デンプレイス 東京
2021 「房総里山芸術祭いちはらアート×ミックス2020+「conjunction-名詞から接続詞 へ-」白鳥保育所 千葉
「偶然の地層の上で」howra(淺井裕介+高山夏希) EUKARYOTE 東京
2020「VOCA 展 2020 現代美術の野望 – 新しい平面の作家たち -」上野の森美術館 東京


MORE EXHIBITION


“EUKARYOTE”は、2018年に東京の神宮前に設立したアートスペースです。美術の発生より紡ぎ続けてきた現代の有形無形、その本質であり、普遍的な価値を持つ作品や作家を積極的に取り上げ、残していきます。


PAGE TOP