EUKARYOTE
この度EUKARYOTEでは11月2日 (金) より11月25日 (日) の会期にて、4名の作家による「para nature」を開催いたします。
私たち人間に本来備わっている本性、それをも包含する「nature=自然」と対峙することは芸術において普遍的なテーマでもあります。人間のスケールを超えた何かに焦点を当てる彼らの活動は、「自然」に対して尊厳と距離を保ちながら、私たちに新たな枠組を見せようとしているのかもしれません。
ランドスケープを拠り所とした過去から現在までの人間活動の痕跡をたどる写真で、2011〜2012年写真新世紀で佳作入賞した阿部祐己をはじめ、石に穴を空ける作品で注目を集め、各土地に赴きながら石彫の領域を超えた活動を続ける荒木美由や、日常の愛着ある風景を俯瞰して描き、昨年アーツ前橋で滞在制作と成果展を行った衣真一郎、光を手がかりに人間知覚領域の外側を筆触を重ねて探る作風で、現在セゾン現代美術館での展覧会に出展している畑山太志など、4名の新作と近作を展示いたします。
尚、本企画パートナーとして、早稲田大学美術史学専攻博士課程に在籍し、美術批評等の活動もしている吉村真氏にご協力頂きました。
月曜日
2018年11月2日(金)18:00〜20:00
<企画協力>
吉村真
<展示照明協力>
伊藤啓太
<宣伝美術>
浅田農
1984 長野県生まれ
個展
2018「Trace of fog」時さえ忘れて(会津若松)BOOKS f3(新潟)
2017「Trace of fog」Space Jing(東京)
2016「霧のあと」銀座Nikon Salon / 大阪Nikon Salon / 岩波書店 雑誌世界 12月号掲載
「新しき家」三木淳賞 受賞作品展, 大阪Nikon Salon(大阪)
2015「新しき家」三木淳賞 受賞作品展, 新宿Nikon Salon(東京)
2014「新しき家」新宿Nikon Salon / 大阪Nikon Salon / 日本カメラ 10月号掲載
主なグループ展
2018「New universality 01 展」」四谷CCAA(東京)
「シンビズム 展」 諏訪市美術館(長野)
2015「全州国際 Photo FESTIVAL」 全州郷校 全州市(韓国)
2014「BIRTH 展」CANSON Gallery(ソウル・韓国)
「三菱商事アートゲートプログラム展」表参道GYRE(東京)
2013 キヤノンフォトグラファーズセッション(東京)
2012「写真新世紀」東京都写真美術館, せんだいメディアテーク(宮城)
2011「写真新世紀」東京都写真美術館, せんだいメディアテーク(宮城)
賞
2015 三木淳賞
2012 写真新世紀 佳作
2011 写真新世紀 佳作
1987 群馬県生まれ
2013 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻 卒業
2014-15 パリ国立高等美術学校 交換留学
2016 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻 修了
個展
2018「山と畑」 ya-gins(群馬)
2016「Town」 switch point(東京)
2015「E-CUS Project cotton #4 SHINICHIRO KOROMO」 cotton(埼玉)
2014「TWS-Emerging 214 風景と静物」 トーキョーワンダーサイト渋谷(東京)
「田園風景」 現代Heights Gallery DEN &.ST(東京)
主なグループ展
2018「つまずく石の縁 -地域に生まれるアートの現場-」 前橋中心市街地周辺 (群馬)
2017「BankART Bank U35 2017」 BankART Studio NYK(神奈川)
「3331Art Fair 2017」 アーツ千代田3331(東京)
「群馬青年ビエンナーレ 2017」 群馬県立近代美術館(群馬)
2016「corner」 see saw gallery+cafe(愛知)
「アートアワードトーキョー丸の内 2016」 丸ビル1階マルキューブ(東京)
2015「太郎かアリスのliquid」 遊工房アートスペース(東京)
「Choque Parisien」 パリ国際大学都市日本館(パリ)
2014「Atelier Djamel Tatah」 パリ国立高等美術学校(パリ)
「PORTAGE」 パリ国立高等美術学校(パリ)
「原景-01」 Maebashi Works(群馬)
2013「light house vol.8 石崎尚 企画 国分寺の女主人K」 switch point(東京)
「The Real Rio」 Gallery Barco(東京)
「ジェロニモ」 Turner Gallery(東京)
「トーキョーワンダーウォール 2013」 東京都現代美術館(東京)
「アートアワードトーキョー丸の内 2013」 行幸地下ギャラリー(東京)
「ワンダーシード 2013」 トーキョーワンダーサイト本郷(東京)
アーティスト・イン・レジデンス
2017「群馬県ゆかりのアーティストによる滞在制作事業」 アーツ前橋(群馬)
1988 東京都生まれ
2013 女子美術大学修士課程芸術領域立体アート専攻 修了
個展
2017「わたしがわたしであること」天王洲アイル/セントラルタワービル(東京)
「いしをもって眠りたい」BLOCK HOUSE(東京)
2016「for grand mother」sanka(東京)
2015「いしに あな をあける」いりや画廊(東京)
2014「 anarchy」Yellow house(東京)
主なグループ展
2018 京都UrBANGUILD にて岸井大輔戯曲参加、押上floatにて個展開催予定。
2017「アラキユウ アラマキハルカ アラキミユ」blanClass(井土ヶ谷)
「ART SESSION TSUKUBA」磁場 / 地場(つくば)
「say good buy」 野方の空白(東京)
南総金谷藝術特区 レジデンス招致 (千葉)
2016「一瞬のごちそうさまのあとに、100 年後の石の話」BlanClass(横浜)
「BARRACK OUT」 旧松田邸(東京)
那須野が原国際芸術 シンポジウム 招致、 大田原芸術研究所(栃木)
2015 日本モンゴル交流展 招致 ( モンゴル / ウランバートル)
2014 我孫子国際野外美術展 レジデンス招致(千葉)
1992 神奈川県生まれ
2015 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業
2017 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域 修了
個展
2017「時はぐれ」 SEZON ART GALLERY(東京)
2014「畑山太志展」 GALLERY b.TOKYO(東京)
主なグループ展
2018「網膜と記憶のミトロジー」 セゾン現代美術館(長野)
「京都アートラウンジ」HOTEL ANTEROOM KYOTO(京都)
「PREVIEW」EUKARYOTE(東京)
2017「CYA! Modern / セイヤー!モダン 〜to the next stage」SEZON ART GALLERY(東京)
「美藝礼讃ー現代美術も古美術も」 セゾン現代美術館(長野)
「ART FORMOSA 2017」 誠品ホテル(晴山藝術中心)(台北)
「3331 Art Fair 2017 -Various Collectors Prizes-」 3331 Arts Chiyoda(東京)
「Arts in Bunkacho ~トキメキが、爆発だ~」 文化庁(旧文部省庁舎)公共スペース(東京)
「第40回東京五美術大学連合卒業・修了制作展」 国立新美術館(東京)
2016「CAF賞選抜展」 HOTEL ANTEROOM KYOTO | GALLERY 9.5(京都)
「美大生展 in 2016」 SEZON ART GALLERY(東京)
2015「TARGET」 府中市美術館1階市民ギャラリー(東京)
「第38回東京五美術大学連合卒業・修了制作展」 国立新美術館(東京)
「TURNER AWARD 2014」TURNER GALLERY(東京、大阪、札幌、名古屋)
2014「第1回CAF賞」TABLOID GALLERY (東京)
2013「第49回神奈川県美術展」 神奈川県民ホールギャラリー (神奈川)
「ワンダーシード2013」 トーキョーワンダーサイト本郷 (東京)
受賞
2015「多摩美術大学卒業制作展」 福沢一郎賞
「TURNER AWARD 2014」優秀賞
2014 平成26年度 日本学生支援機構 優秀学生顕彰 奨励賞
平成26年度 多摩美術大学校友会奨学生
「第1回CAF賞」優秀賞、審査員特別賞(名和晃平賞)
その他
2016- ホテルアンテルーム京都 客室内展示(251号室)
ティモシー・モートンが述べたように、「自然は神的なもの(divine)と物質的なもの(material)のあいだで揺れ動いている」。近代以降の人間社会とのかかわりにおいて、自然–––人の手と無関係に生じる存在–––はおおむね宗教的な憧憬の対象とモノづくりの単なる素材という両極に引き裂かれている。人間の知覚を圧倒する崇高な風景のなかで神との合一を求めるロマン主義と、自然美を人間の幾何学的精神の反映とみなし、目的にかなったフォルムに物質を従属させる合理主義。近代芸術におけるこの二大思潮が結果して、今日の消費社会は人工的に構築された都市環境で、合理主義的に整えられた自然の断片、あるいはロマン主義的な風景のイリュージョンを欲望していると言えようか。それゆえモートンは、地球環境と人間社会の真にエコロジカルな共生を思考するために「自然」の概念を手放すことを主張する。
だが本当に「自然」は地球環境を崇高なもののお手軽なイメージと制御され素材化された断片に変えてしまっただけだろうか。むしろ「産出する自然」は今も昔も私たちに働きかけ、私たちを巻き込み、地球の環境自体にとって未知の風景を開いていく力であるとも考えられる。切り離されているのでも、一体化しているのでも、一方が他方を支配しているのでもなく、親密でありながら闘争をはらむ、人と地球、人為と自然のそうした関係から生まれるモノや風景を“para nature”と呼んでみよう。それはディストピア的なヴィジョンを描くかもしれないし、共生の可能性を示唆するかもしれない。自然の傍らで、自然に倣いながらも、ときに自然とは別の何かを呼び寄せる人為=artをそれぞれの距離感で表現する四作家のグループ展はどのような風景を見せてくれるだろうか。
吉村真
PAGE TOP