畑山太志個展「親密な時空」

畑山太志個展「親密な時空」

EUKARYOTE


Information

EUKARYOTEでは2023年4月7日(金)から4月30日(日)までの会期にて、畑山太志による個展「親密な時空」を開催いたします。

絵画制作を通して人知を超えたもの、高次の世界への探求を続けている畑山は「VOCA展2023」に選出され、セゾン現代美術館で発表した作品群から5年ぶりとなる、横幅3.6mに及ぶ大作を発表しました。同時に、昨年まではパンデミック下の世界に寄り添うように自身の内面と距離を置き、周りの環境や空間を客体から捉える試みとして、画面全体を覆う疾走感あるストロークが特徴として表れていましたが、今年は自身の内側に潜り込むように、じっくり一枚のキャンバスと向き合い、大小様々な筆触と、矩形や奥行きを感じさせるかたちを集積していく時間になりました。
また、本展への制作の前に足を運んだ白神山地で目にした、大雨と地滑りによる殺伐とした光景、これまでインスピレーションとしてきた人に開かれ調和した自然とは違った、生と死が等価値に循環していく自然の様子を目の当たりにした経験から、その不穏さや荒々しさが絵画制作に取り込まれ始めたと語っています。

本展で発表する新たなペインティングでは、これまで取り組んできた「素知覚」や「空間体」で現れた生命・非生命が織りなす環世界に加え、積み上げられた筆触による色彩と形態の共存、そこには超次元的な空間で起きている生成と分解、有機と無機、現実と仮想、連続と切断、運動と静止などといった異質な要素が同時にキャンバス上に現れており、余白には未知の空間が生まれる可能性が残されています。そしてこれまで未発表だったドローイングでは、キャンバスに起こす前の言語化できない事物を繫ぎ止める手法として、光の層を重ねていくように色鉛筆を塗り重ね、線と線を繋げていくことによって多次元空間が生まれており、描かれた作品世界それぞれが相互に作用しメタ的に繋がるように見えてきます。
畑山は日常の中で、本を読んでいるときや会話をしながら思い浮かべている物事、それらの時空がパノラマ写真のようにずれを生じながら混じり合い、自身の身体をも取り込んでいく感覚がリアリティとしてあると語っています。私たちはただ物質の世界に相対しているだけではなく、会話のときでさえ様々な記憶や場所を巡り、ここではない過去や未来を呼び起こしています。「それが人間に限らずあらゆる動植物から事物まで考えを広げていけば、単一な時空が存在するどころか複雑極まりない紛れあった時空が姿を現すように思う。」畑山の言う、時間と空間の概念を超えた「親密な時空」を体験いただけましたら幸いです。

休廊日

月曜日

宣伝美術

明津設計


畑山太志

1992 神奈川県生まれ
2015 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業
2017 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域 修了

近年の主な個展
2022「客観の方法」Gallery Pictor /神奈川
「空間体」EUKARYOTE /東京
2021「animarium」un petit GARAGE /東京
2020「素知覚」EUKARYOTE /東京

近年の主なグループ展
2023「VOCA展2023 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」上野の森美術館 /東京
「中心はどこにでもあり、多数ある − Final Group Show」宝庵、Gallery Pictor /神奈川
2022「ACTIVATE KOGEI+ART」 松屋銀座8階イベントスクエア /東京
「Arts & Library Show《中心はどこにでもあり、多数ある》」 Gallery Pictor /神奈川
2021 「Rejoice! 豊かな喜びの証明 Ⅱ: Kairos」 セゾンアートショップ /神奈川
「Nagi Contemporary Arts Project」 Gallery FIXA、奈義町現代美術館喫茶室 /岡山
「Arts & Library Show [awareness]」 Gallery Pictor /神奈川
「エマージング・アーティスト展」 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM /東京
「My Armchair / 私の肘掛け椅子」 ANAインターコンチネンタルホテル東京


MORE EXHIBITION


“EUKARYOTE”は、2018年に東京の神宮前に設立したアートスペースです。美術の発生より紡ぎ続けてきた現代の有形無形、その本質であり、普遍的な価値を持つ作品や作家を積極的に取り上げ、残していきます。


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